03 陰性症状からの脱却(意欲)

こうして、発症から丸2年を過ごしていたが、3年目、大地は警察官試験を受けると言い出した。

大地の妄想は、警察官の知り合いがいるというものもあったから、妄想の症状が少し残ったままの状態かもしれないと思うと悲しかった。一生、こういう症状が残ったままなのかもしれない。試験を受けて欲しくなかったし、試験日までにこの症状が無くなればいいのにと、そう思った。

そこで、たまたま知ったNEAR(認知機能リハビリテーション)を受けさせたいと考えるようになる。最初大地はめんどくさいからと行きたがらなかった。けれど、試験の参考書や問題集を買ってきて勉強してはみるものの、まったく捗らず、問題集を見ながら30分もかたまってしまう様子を見て、集中力や記憶力が良くなるらしいよと誘い、本人のやっぱりめんどくさいかな〜と言う思いを、ラーメンだのアイスだのクオカードなどでそそのかし、薬以外の治療にこぎつけた。

3ヶ月のリハビリの後、大地の認知機能は期待したような改善はなかったものの、意欲は出てきたようで、警察官試験を自分で受けに行く事ができた。

陰性症状が、すっかり良くなったわけではなかった。試験勉強と言っても、ガツガツ勉強している姿はなく、いつも遊んでいる松下くんや翔くんと、ゲーム以外に勉強もする、という程度のものだった。それでも、理由はどうであれ、試験を受けるという目標が、少しばかりの意欲を芽生えさせたように思う。

そしてこの頃から、寝てばかりいる時間は、少しづつ減っていった。

それまでは、12時間以上は寝ていたと思うが、10時間くらいになったような気がする。

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