07 陰性症状からの脱却(入学後)

4月、大地は大学に入学した。

今までで一番大きな環境の変化となるだろう。再発するかもしれない。。。絶えずその不安はあった。けれど、再発しないかもしれない。なんとか再発せずに、NEARの時のように、めんどくさいと言いながらも通えるかもしれない。もし通えたら、新しい友だちや先生との出会いもあるし、今までとは違う世界が広がる。

期待はしないけど、希望は持つ。

そう自分に言い聞かせながらきた。

この病気になる子はとても優しくて、親の期待に応えようと頑張るんじゃないかと思う。とても敏感だから、いくら親が表面的に「好きなようにしなさい」と言っても、親の喜ぶ正解が何かを感じ取り、その期待に応えようとしてしまうのではないか。

だから、期待をするのはやめる。大地は私の期待に応えなくていい。本当に自分にとって、やりたいと思う方向に進めば良いのだ。

けれど、いつか大地が心からやってみたい仕事であったり、生活であったりを見つけて、それに向かえるようになり、日々を楽しく過ごせるようになるという希望は、持っている。

大地にとって大学は、その希望につながるかもしれない。

入学式は、成人式の時に買ったスーツを着て、自転車で1人で出かけた。

かあさんも式に参加しようかな〜。と言うと、「大学だよ!?もう親はいいでしょ。」と言うから、ついて行かなかった。ホントは大学の保健管理センターに行って、大地の事を話しておいた方が良いかなと思ったけれど、様子を見ることにした。

そして最初の3日間、「同じ科の男の子と話した。」「サークルの説明会があった。」「学食で、先輩からバスケやらないかと誘われたからやってきた。」と、少しづつ交流が広がっていった。

宿泊オリエンテーションにも参加した。発症後、以前からの友だちの家に泊まりに行くことはあったものの、こんな風に、出会ったばかりの子たちと、初めての場所へ泊まりに行くことは、もちろん始めて。

サークルは、バスケとバトミントンとテニスに入り、週三日は夕方からガッツリ運動して帰宅。サークルの無い日も、友だちと話してるからと、帰宅は遅かった。

4月の1ヶ月間、バイトのシフトは入れていなかった。他の大学生のバイト仲間から、4月は選択する授業によってバイトできる日とできない日がわからないから入れない方がいい、とアドバイスをもらっていたのだ。

バイトはなかったものの、今までとはまったく違う新しい活動にアクティブに参加していたし、授業は毎日1限からあったから、自然と朝7:30に起きて、夜は0:00頃寝るという生活になった。

あまり大学生活を根掘り葉掘り聞くのもどうかと思ったから、できるだけ大地が話してくるのを待つようにしたが、「ちゃんと寝てるの?眠れてる?」と聞いて、表情を見ては確認した。

当初、毎日新しい活動があったり、友だちや先輩など、新しい交流が広がったりと、刺激のある生活が続いたが、授業が一通り始まった頃、ついていけそうか聞いたところ、「〇〇と××が難しいんだよな~。」と言ったり、さらに少しすると、「なんか、飽きてきた。めんどくさい。」と言ったりしはじめたので、まだ1ヶ月なのに飽きてきちゃったか。。。4年間も続くかな。。。と、大地の言葉のひとつひとつに一喜一憂していた。